2012年6月28日木曜日

読了: Whyから始めよ

読むべき本を投げ出して家に転がってた本に寄り道。「Whyから始めよ〜インスパイア型リーダーはここが違う〜」。年頭くらいからちょいちょい話題になってたから、ベースマガジン買うついでに4ヶ月くらい前に買ったのをつい手にとってしまったが、予想以上に学びが大きくて、むしろこっちを先に読んでよかった。

著者は人間や行動の原理を以下の3つに分けて説明する。
  • 「WHAT」
    • していること。企業なら自社の扱っているサービスや製品。個人レベルでいうなら、例えば会社や組織の仲で自分がどんな職務についているかなど。自分のしていることは大抵は明確に人に説明することができる。
  • 「HOW」
    • 自分がしていることの手法。「独自の工程」「ユニークな販売計画」など、WHAT の裏側を支える方法論的なもの。
  • 「WHY」
    • 今自分がしていることを、している理由。大義や理念のこと。
大半の組織や人々が行動するときには、 「WHAT」から考えると著者は指摘する。WHATは目に見えるものであり、明確だからだ。しかし、そのように自分のすること (WHAT) や、その手法 (HOW) に注目して行動するとき、自分のしていることや、手法に熱中するあまりに、そもそものWHY、つまり行動の理由や初心や大義や理念といったものをいつの間にか忘れ、後戻りできないところまで行ってしまうことが多いのが問題だという。

例えば、ネット上の人気記事の大半は、「どのようにやるか」(=HOW) についての記事である。僕もそういった記事を読み、やはり他人の「手法」「行動そのもの」に興味がいってしまい、また実践したりする。しかし、そういうことを繰り返すうちに僕は「大義」「ビジョン」みたいなものを考えるのを放棄してしまっていて、いつの間にかある意味で無駄な行動、一貫性の無い行動を取っている。

一方で、傑出したリーダーや企業は、明確な「WHY」を持つ。
そして「WHY」を具現化する「HOW」なり「WHAT」を選択して行動する。

著者はリーダーのあり方を以下のように説く。
人間の行動に影響を及ぼす方法は二つしかない。操作するか、鼓舞(インスパイア)するか、だ
目的や大義といった「WHY」を持つリーダーや企業にこそ、人は「鼓舞」され、また忠誠心を持つ。一方で、価格を下げることや、製品のスペックをあげる、などといった「操作」に対しても人は購買行動を取ることはあるが、忠誠心を持つことはない。

傑出したリーダーは、常にWHYを周囲に浸透させインスパイアし続ける。組織が大きくなっても、末端の人にまでその理念が行き届くようにする。そうすることで、組織はそのWhyにインスパイアされ、WHYに乗っとった正しい手法、行動を取り出す。その理念は製品を通じて顧客に伝わり、共感した顧客がその組織の熱烈なファンになっていくのだと。逆にそのWHYが、周囲に伝わらなければ、リーダーについていく人は何をして良いか分かないし、結果、顧客にも伝わらず、組織として力を発揮することはできない。

本書では随所でAppleを引き合いにして、リーダーがWHYを意識し、組織に浸透させる重要性を説く。一方で、WHYを持たないリーダーに率いられた企業の迷走も描く。

本書で紹介されるAppleの例は例えばこのようなものだ。
Appleの発するメッセージ (WHY) とは次のようなものである。
「現状に挑戦し、他者とは違う考え方をする」
Appleの製品に熱烈なファンがいるのも、このWHYに共感するからである。そしてその大義がAppleの企業活動、プロダクトに到る隅々まで行き届いているからこそ人々はそのメッセージをきちんと受け取ることができる。時代は変わり、Appleの挑戦する領域は変わっても、Appleの発するメッセージは変わらない。だから、Appleの製品は変わらず売れるのだ、というように。

とは言え、どのようにやるか (HOW) や、何をやるか (WHAT) ということが重要なことには変わらない。HOWやWHATの力があればこそ、WHYは人に伝わるのである。Appleも、ジョブスというWHYを持った人に、そのWHYに同調するHOWや、WHATを実現することのできる人々が集まったことは見逃せない。そのおかげでWHYを具現化した高品質なプロダクト、サービスを提供できているからこそ傑出した企業なのである。つまり、技術力や手法といった、HOWやWHATは引き続き価値がある。ただHOWやWHATが力を発揮するのも、WHYがあればこそであり、WHYがあればこそ、それに共感する共同者も集ってくる、ということが本書の重要なことだろう。

組織においては自分がWHY型の人間なのか、HOW型の人間なのかを判断することも大事だ。WHY型の人間はそのWHYを形にしてくれる、WHYに共感してくれる優秀なHOW型の人間を見つけることが必要である。また、HOW型の人ならば、共感できるWHYを持つ人間を見つけることが必要なのである。

この本を読んでいくと、「ビジョン」や「理念」というのは僕の想像以上に強烈に大事だ、ということが改めて意識される。勿論、本書で説くように、「WHY」を設定し、そこから「HOW」や「WHAT」をするする導く、なんてことは現実的に考えるととてつもなく難しいことである。そもそも「WHY」の設定って、簡単にできるものではない。

しかし、本書が終始、行動原理を「WHY」を中心に「HOW」「WHAT」の3パターンに分けてその各々の役割、重要性を例も交えながら説明してくれたおかげで、まずは今後の行動について、今自分が、「WHY」「HOW」「WHAT」のどれについて考えているのか、自分の行動はきちんとWHYを踏まえたものであるのかないのか、というものを意識しながら行動をすることができるようにはなる。実践的には、こうしてWHATと、WHYを行き来しながら、WHYを見つけていくことになるのだろう。

最後に、著者によるTEDの動画が以下にあります。
この本の内容をまとめたものとして大いに参考になります。