2012年6月19日火曜日

読了: プロデュース能力

今月は読書感想文が多めです。本人としては流れを意識しつつ読書しています。今月の目標は4冊ありまして、後1冊読む予定の本があります。今回の本は「プロデュース能力」。

以前から、漠然とではあるが、個人で頑張りつつも、自分の好きな人と一緒に何か個人の能力を越えたことを実現できたら楽しいだろうなぁ、ということを思う。実際にそういうことを実現している友人を目の当たりにしてみたりしたりしたときに、「あぁ、こういう感じ良いなぁ」と思ったり「どうやったらこういうことが自分にもできるんだろう」とか考えるうちに、多分自分には「プロデュース」みたいな観点の思考プロセスが欠落してるんだろうなぁ、と思うようになった。

また実際にプロデューサとして仕事をしている人と話をしていて「この視点は自分にないけど、多分これがプロデュース的な視点なんだろうな」、と感じたこともあり興味が湧いたこともある。こうした経緯で、「プロデュース」という仕事について知っている訳ではないが、漠然とそのような概念に興味を持ってきたため、まずは入門書的な本書を手に取ることにした。

さて、そもそも「プロデュース」とは何か?
本書では以下のように定義する。
ひとつのビジョンをもとに、人々の力を借りて「新しい何か」を創り出し、現状を変えること。それが、プロデュースである。
「プロデュース」には僕が想定していたような、「個人のビジョンを元に集団で何かをつくりだす」というときに必要な考え方であるだけでなく「自分自身の人生のビジョンを実現する」ときにも発揮することができる。特に現代のように、個々人の生き方が多様化し、生き方自体に正解がなくなってきた時代においては、「プロデューサ」という肩書きを持っていなくとも、自分の人生を自らプロデュースし、自分の望む方向に持っていく、という力が必要になってくる。

では、プロデューサの仕事とは何だろうか?
本書では「プロデューサの7つの行動」として、プロデューサの仕事を以下のように一般化している。
  1. ビジョンを設定する
  2. 戦略を提示する
  3. チームを創造する
  4. ネットワークする
  5. 環境を最適化する
  6. プロモーションする
  7. 成果を共有する
この「プロデューサの仕事」をから帰納的に、「プロデュース」をする際の頭の使い方を 「プロデュース思考」として、を大きく以下の3つに集約できる。
  1. ビジョン (自分の欲求・動機と実現したいビジョンは何か?)
  2. 戦略 (どんな方法によってプロデュースを実現するか?)
  3. 価値 (プロデュースはどんな価値を生み出すか?)
「プロデュース思考」の一番目はビジョンである。
ビジョンは「自分は何がやりたいのか」「なぜ、それをやりたいのか」といったことに対する答えであり、「プロデュース」はまず「ビジョン」から出発する。 本書ではビジョンの策定の仕方、ビジョンのプロデュースワーク全体に対する意義等、かなりのページを割いているが、プロデュースの肝はビジョンと言って過言ではない。

ビジョンは、普遍性を持ちながらも極めて個人的な強い思いを伴なって生まれた望みである。熱い思いを伴なうビジョンを語ることにより、それに共感する人が集まり出し、物事が動き出すのだという。だからこそビジョンは十分に考え抜かれなければならない。ビジョンを「ビジョンが実現したときの物語」「ビジョンが実現するまでの物語」「ビジョンが生まれた背景にある物語」の3つの角度それぞれについて、人にいつでも説明できるように準備しておくのが望ましいという。

そうして、とにかくもビジョンが漠然と決まってきたのなら、プロデュース開始前にできる限り「小さな行動」を沢山する。筆者のいう「小さな行動」とは以下のようなものだ。
  1. 生の情報を収拾する支援者
  2. 共感者をつくるより
  3. 良い未来仮説をつくる
  4. 自分のモチベーションを高める
この「小さな行動」を繰り返すことで、ビジョンが洗錬され、プロデュースの全体の構想をより具体的にイメージされてくるという。ここは本書で僕が一番参考になった箇所だ。振り返ってみれば、確かにプロデューサと呼ばれる人達ってこういう行動を普段からしている印象である。

さて、ビジョンが策定されたら、「プロデュース思考」の2番目。
ビジョンを実現するための戦略を考える。ビジョン実現へのマイルストーンを立てたり、チームを編成したりする訳だ。この辺の「問題解決」の方法論は、本屋さんに沢山置いてあるから、詳しくはそちらを読めば良い。

さらに「プロデュース思考」の3番目の「価値」について。
「このプロデュースの大義名分は何か?」「付加価値は何か?」 ということを考えることである。プロジェクトレベルでも、チームメンバー各人のレベルでも「価値」について普段から考えておくことで、自分も含めた参加者のモチベーションを保ち続けるときに役立つ。「一見、実現が難しそうに思えるプロジェクト」ほど、プロデュースの力の見せ所でもあると同時に、モチベーションを保ち続けるのが難しくなる。だからこそ、「価値」についても常に整理をしていくことが大事である、ということらしい。

本書は概念の説明と共に分かりやすいケーススタディも記載されており、あっという間に読了することができた。その分物足りなさも感じる部分も多いものの、詳細な各論は、引き続き他の本を当たれば良いと思うので、「プロデュース思考」入門書としては学ぶことも多くよかった。